上場廃止

Warrantee Inc.

【事例解説】NASDAQ上場廃止に至った公式プロセス
― SEC公開資料から読み解く上場維持実務の重要性 ―

市場
NASDAQ Capital Market
ティッカー
WRNT (廃止)
状態
上場廃止
事業内容
保証サービス

Warrantee Inc. は、NASDAQ Capital Market に上場していた企業ですが、SECおよびNASDAQが公開する公式資料に基づくと、上場維持要件を満たせない状態が継続した結果、上場廃止(デリスティング)に至ったことが確認できます。

本記事では、SECのEDGARで公開されている公式文書を中心に、Warrantee Inc. がどのようなプロセスを経て上場廃止に至ったのかを整理します。

注意事項:本記事は公開情報に基づく一般的な解説であり、特定の投資判断や法的助言を行うものではありません。

1 上場廃止を示す公式文書(Form 25)

SECのEDGARに公開されている Form 25(Removal from Listing and/or Registration)は、証券取引所が当該証券を正式に上場廃止・登録抹消する際に提出する書類です。

Warrantee Inc. に関しては、この Form 25 が提出されており、NASDAQにおける上場が正式に終了したことがSECの公式記録として確認できます。

重要ポイント:

Form 25 はあくまで「結果」を示す書類であり、その前段階として、NASDAQの上場維持基準に関する複数の非適合状態が存在していたことが前提となっています。

2 定期報告書未提出に関するNASDAQからの公式通知(Exhibit 99.1)

SECに提出された Exhibit 99.1(会社が公表したNASDAQからの通知書)では、Warrantee Inc. が年次報告書(Form 20-F)を期限内に提出していないことが明記されています。

Form 20-F は、米国外企業が米国市場に上場している場合に提出が義務付けられる最も重要な年次開示書類です。

上場規則違反:

この未提出により、同社はNASDAQ上場規則 5250(c)(1)(継続開示義務)に違反している状態であるとNASDAQ側から公式に指摘されています。

通知文書では、

  • 上場維持審理(Hearings Panel)の対象となること
  • 一定期限までに説明や是正対応を行う必要があること

が示されており、単なる注意喚起ではなく、上場廃止を前提とした制度的プロセスに入っていたことが読み取れます。

3 上場維持における「開示義務」の重み

SECおよびNASDAQのルール上、定期報告書の提出は、株価基準と並ぶ最重要の上場維持要件です。

株価要件に一時的に抵触した場合であっても、開示義務が適切に履行されていれば、是正期間や改善の機会が与えられるケースは少なくありません。

重大な違反:

一方で、定期報告書(Form 20-F や Form 6-K)の未提出は、それ自体が独立した重大な上場維持違反として扱われます。

Warrantee Inc. のケースでは、この継続開示義務の未履行が、上場維持を困難にした公式な要因の一つであったことが、SEC資料から確認できます。

4 SEC公式資料から読み取れる結論

SECおよびNASDAQの公開資料を総合すると、Warrantee Inc. の上場廃止は、

  • NASDAQの上場維持基準に関する非適合状態が複数存在していたこと
  • 特に、年次報告書(Form 20-F)の未提出という重大なルール違反が解消されなかったこと
  • その結果、NASDAQが正式な上場廃止手続きを進め、Form 25 が提出されたこと

という、制度に基づく公式プロセスを経て実行されたものであることが確認できます。

5 付記:是正計画により上場維持に成功した事例について

なお、NASDAQの上場維持制度においては、上場維持基準に一時的に抵触した場合であっても、是正計画(Compliance Plan)を提出し、一定期間内に基準を回復することで、上場を維持している企業も存在します。

特に、

  • 株価基準への抵触
  • 定期報告書の提出遅延

といったケースでは、是正計画の内容や対応スピード、実行体制を踏まえた上で、Hearings Panel の判断により上場継続が認められる例も確認されています。

重要な示唆:

この点は、上場維持の可否が、形式的な違反の有無だけで自動的に決まるものではなく、その後の対応体制や実行力が重要であることを示しています。

まとめ

SECの公式公開データに基づく限り、Warrantee Inc. の上場廃止は、ルールに基づく制度的な手続きの結果であり、特に継続開示義務への対応が重要な論点となっていました。

上場維持の本質:

米国上場はゴールではなく、上場後の継続的な実務対応を前提とした経営プロジェクトです。是正に成功し上場を維持している企業が存在する一方で、そのためには、迅速な対応と実行可能な体制構築が不可欠であることが、本事例から読み取れます。