米国市場(NASDAQ等)への上場プロジェクトにおいて、会計監査のプロセスはスケジュール全体に大きな影響を与える重要なフェーズです。私たちは、本格的な監査が始まる前に会計論点を整理・精査する「Phase 1(予備調査)」プロセスを推奨しています。監査法人による指摘を待つのではなく、事前に課題を可視化し対策を講じることで、上場準備をより確実かつスムーズに進めるためのサポートを行います。
1 なぜ、監査開始前の「事前精査」が必要なのか
国境を越える上場案件(クロスボーダーIPO)では、日本の商習慣と米国会計基準(US-GAAP)や監査基準の差異により、監査過程で予期せぬ論点が発生し、スケジュールが長期化するケースが少なくありません。
Phase 1の目的
本サービスでは、監査法人が本格的に稼働する前に、想定される会計リスクや論点を洗い出します。これにより、監査対応の手戻りを防ぎ、プロジェクト全体の予見可能性を高めることを目的としています。
よくある課題
- 監査開始後に重大な会計論点が発覚し、スケジュールが大幅に遅延
- 日本基準とUS-GAAPの差異認識不足による、想定外の修正作業
- 監査法人とのコミュニケーション不足による、認識のズレ
- 経理・財務部門への突発的な負荷集中
2 私たちのアプローチ
📝 論点整理メモ(ポジションペーパー)の作成支援
単に会計処理を行うだけでなく、会社の判断根拠や適用基準を明確にした「論点整理メモ(ポジションペーパー)」の作成を支援します。
論点の可視化
複雑な取引について、会計基準に基づいた論理構成を文書化します。
監査人との円滑化
事前に整理された資料を用いることで、監査法人との協議が建設的に進むようサポートします。
3 米国会計基準(US-GAAP)適用における主な確認ポイント
日本企業が米国市場を目指す際、特に慎重な検討が求められる以下の論点について、重点的な精査を行います。
連結範囲の判定(VIEスキーム等)
持分比率だけでなく、契約等による実質的な支配関係(変動持分事業体)の有無を含め、連結範囲が適切かどうかの複雑な判定を整理します。
企業結合(M&A)とPPA
過去に行った企業買収や資産取得について、資産・負債の時価評価や無形資産の認識(PPA:取得原価の配分)の妥当性を確認します。
固定資産・無形資産の管理体制
台帳と実物の一致確認(実在性)や、将来キャッシュフローに基づく減損テストの要否など、内部統制の観点も含めて確認します。
リース会計(ASC 842)への対応
米国基準では、オフィス家賃を含む多くのリース取引について、B/Sへの計上(オンバランス)が求められます。日本基準との差異が大きい重要項目です。
株式報酬(ストックオプション等)
付与時点での公正価値評価や費用計上の処理が適切かを確認します。評価モデルの選定や条件設定が論点となりやすいため、精査が必要です。
収益認識(本人・代理人の区分)
取引の実態に基づき、売上を「総額」で計上すべきか、「純額(手数料)」で計上すべきか、収益認識基準(ASC 606)に照らして検討します。
その他の確認項目: 有給休暇債務や退職給付など、US-GAAP/IFRSで負債計上が求められる項目についても網羅的に確認します。
4 導入により期待される効果
この「事前精査(Phase 1)」プロセスを経ることで、クライアント様には以下のメリットが期待できます。
| 効果 | Phase 1 実施の場合 | Phase 1 未実施の場合 |
|---|---|---|
| 監査対応 | 論点が整理されているため、監査法人とのやり取りがスムーズ | 監査開始後に論点が次々と発生し、対応に追われる |
| スケジュール | 重大な課題を早期発見・対応し、上場延期リスクを低減 | 予期せぬ論点発覚により、スケジュールが大幅に遅延 |
| 社内リソース | 突発的な修正作業を減らし、担当者の負担を平準化 | 監査期間中に突発的な負荷が集中し、担当者が疲弊 |
| 経営判断 | 会計課題とインパクトを早期把握し、適切な意思決定の時間を確保 | 課題が後手に回り、経営判断が遅れる |
Phase 1が、上場プロジェクト成功の鍵
事前精査により、監査対応の効率化、スケジュールの安定化、社内負担の軽減、経営判断の迅速化を実現します。