はじめに

投資で大きなリターンを狙うなら個別株が魅力的ですが、その分リスクや高度な分析の必要性が増えます。そこで注目されるのが、市場全体や特定セクターの動向をまとめた「インデックス投資」です。インデックス投資は調査の手間が少なく、複数企業への分散投資がしやすいという利点があります。本記事では、IT企業が集まるNasdaqの指標「Nasdaqインデックス」の仕組みや特徴、投資メリット・リスク、実際の投資方法をわかりやすく解説します。
*本記事は04/21/2025現在の情報を元に作成したものです。

Nasdaqとは?

Nasdaqは、アメリカ合衆国にある株式市場の1つで、主にテクノロジー関連企業や新興企業が多く上場している点が特徴です。1971年に電子取引市場として設立され、今では世界最大級の取引量を誇ります。アップルやマイクロソフト、Amazonなど、世界をリードするIT企業が多数上場しており、グローバルな投資家から常に注目を集めています。

インデックスとは?

インデックス(株価指数)とは、特定の株式市場や銘柄群(セクターなど)の値動きを示すために作られた指標です。主要企業を一定のルールで選び、その株価を統合した数値化(指数化)を行うことで、市場全体やセクターの動向を俯瞰的に掴むことができます。インデックス投資のメリットは、市場の平均的なパフォーマンスを狙えるため、個別企業の詳細を綿密に調べなくても分散投資が可能になり、投資リスクをある程度抑えることができる点にあります。

Nasdaqインデックスの特徴

⚫︎主要銘柄と算出方法
Nasdaqインデックスには、代表的なものとして以下の2つがあります。

・Nasdaq総合指数 (Nasdaq Composite):
Nasdaq市場に上場している全銘柄(普通株式)を対象とし、約3,000銘柄以上を含む指標。市場全体の動きを広く把握することができます。

・Nasdaq100指数 (Nasdaq 100):
Nasdaq市場のうち、時価総額(株価×発行済株式数)が大きく取引量も多い100社を厳選して構成されるインデックス。世界トップクラスのIT・テクノロジー企業が多く含まれ、テックセクターの動向を知る上で重要とされています。

いずれも「時価総額加重型」(企業の時価総額に応じてインデックスへ与える影響度が変わる仕組み)が採用されており、大型銘柄の動きが指数全体に与える影響が大きいという特徴があります。

S&P 500との相違点

S&P 500は、NYSEやNasdaq市場など、米国の主要株式市場に上場している大手企業500社を対象にした株価指数です。企業の時価総額や業種バランスなどを考慮して構成されており、アメリカの株式市場全体を反映する代表的な指標として広く利用されています。 そんなS&P 500とNasdaqインデックス(Nasdaq 100)には、以下のような違いがあります。

⚫︎セクター構成
S&P 500: 比較的幅広い業種(金融、消費財、ヘルスケア、エネルギーなど)に分散されており、テクノロジーだけでなく多様な企業が含まれています。
Nasdaq 100: ITや通信、インターネット関連などテック企業の比率が高く、セクター偏重が見られる点が特徴です。

⚫︎リターンの特性
S&P 500: 米国の主要企業を総合的にカバーしているため、比較的安定した値動きが見込めます。
Nasdaq 100: テクノロジー企業中心で業界の変化が速く、景気や金利の動向にも敏感に反応します。そのため、ボラティリティ(価格変動の激しさ)が大きくなる一方で、高いリターンを得られる可能性も秘めています。

Nasdaqインデックスはなぜ強い?

⚫︎テクノロジー企業の存在感
Nasdaq市場に上場している企業には、世界をリードするIT・ソフトウェア・クラウド・半導体分野の企業が多数含まれています。これらの企業は巨額の研究開発投資(R&D)を行い、新たな製品・サービスを生み出し続けることで、市場全体を力強く牽引する役割を果たしています。

⚫︎投資家心理の反映
投資家は将来的な成長が期待できる分野に資金を集中させる傾向があり、テクノロジー分野は特にイノベーション(革新)のスピードが速いことから、長期的に大幅な成長が見込まれる可能性があります。その一方で、企業業績の悪化や世界経済の低迷などの要因が重なると、一気に売りが拡大する局面もあるため、値動きは比較的激しくなりがちです。

Nasdaqインデックス投資の3つのメリット

⚫︎高成長ポテンシャル
AI(人工知能)やクラウド、バイオテクノロジーなど、先端的な成長市場を取り込んだ企業が集まっているため、長期的には高いリターンが期待できる可能性があります。

⚫︎分散投資による安定性
個別企業を一点集中で買うよりも、インデックスに投資することで複数の企業に分散できるため、リスクを低減しやすいという特徴があります。Nasdaq 100では、様々なIT関連企業が含まれるため、一部の銘柄が不振でも他でカバーできる余地があります。

⚫︎グローバル市場との連動
Nasdaq上場企業の多くは世界各国で事業を展開しているため、米国だけでなくグローバルな経済成長の恩恵を受けることができます。世界的な需要増加や技術革新が進むほど、企業の成長に繋がりやすいと考えられます。

Nasdaqインデックス投資の注意点

⚫︎ボラティリティリスク
テクノロジー関連企業は、新製品の成否や景気・金融政策などに敏感に反応し、株価が大きく変動することがあります。特に市場全体が落ち込む局面では、他のインデックス以上に急落する可能性も否定できません。

⚫︎対策
・長期投資の前提: 短期的な暴落リスクを受け止められる投資姿勢が望ましいです。
・ドルコスト平均法の活用: ドルコスト平均法とは、一定の期間ごとに同じ金額を投資し続ける方法のことです。例えば、株価が上がっているときは少ない口数しか買わず、逆に下がっているときは同じ金額で多くの口数を買えるため、結果的に買う価格が平均化されます。こうすることで、一度に大きな資金を投じてしまい、後から株価が下がって損をしてしまう「高値掴み(高い値段で買ってしまうこと)」のリスクを抑えることができます。市場の動きを予測するのは難しいため、ドルコスト平均法のようにコツコツ積み立てる方法は、初心者でも安定的に資産を形成しやすい手段と言えます。

Nasdaqインデックス投資の信託報酬

⚫︎eMAXIS Slim NASDAQ100 インデックスの実例
Nasdaq 100を対象にした投資信託の中でも、コストの安さと運用のシンプルさが注目されているのが「eMAXIS Slim NASDAQ 100インデックス」です。信託報酬が低めに設定されており、長期投資でもコストがかさみにくいというメリットがあります。

⚫︎手数料比較とコスト削減方法
投資信託のコストには、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額などが含まれます。以下のポイントを押さえることで、より低コストな運用を目指せます。

・ノーロード(購入時手数料無料)の商品を選ぶ
・ネット証券で購入する
・信託報酬を複数商品で比較し、最安水準を選ぶ

これらのポイントを押さえることで、長期的にコストを抑えた運用が可能になります。

Nasdaqインデックス投資の始め方

⚫︎証券会社と商品選定のポイント
・ネット証券の活用:店舗型よりも総合的なコストが安く、商品ラインナップが豊富です。
・長期積立の利用:毎月コツコツと積み立てることで、値動きのリスクを平準化できます。

⚫︎Nasdaq 100投資信託ランキングの活用
証券会社や投資情報サイトが公開するランキングを活用することで、人気商品や運用成績の高い商品を比較できます。ただし、上位にランクインしているからといって、必ずしも自分の投資方針に合うわけではありません。リスク・リターンのバランスや運用方針を理解した上で選定が必要です。

おわりに

Nasdaqインデックスは、IT・テクノロジー企業を中心とした急成長セクターの動向を取り込むことができ、長期的には大きなリターンを期待できる魅力的な投資対象です。一方で、ボラティリティが大きく、短期間で大きく下落するリスクも否定できません。長期投資の視点を持ち、ドルコスト平均法などをうまく活用することで、短期的な急落リスクを和らげながらリターンを出せる可能性があります。
投資を検討する際は、リスク許容度と投資期間を十分に考慮し、信託報酬などのコストを比較した上で、ネット証券やランキング情報などを活用して自分に合ったファンドを選ぶことが重要です。これから投資を始める方や、既に投資経験がある方も、Nasdaqインデックスの特性を理解した上で上手にポートフォリオに組み込んでみると、長期的なリターン向上が期待できるでしょう。新たな投資先として、ぜひ検討してみてください。
また、弊社では日系企業のNasdaq、NYSE American上場のサポートをさせていただいております。記事をお読みいただき、もっと詳しく話を聞きたいという方はお気軽に弊社までご連絡ください。
RECENT
 
2025/4/9
NASDAQにおけるESG投資のポイント
NASDAQは、米国を代表とする株式市場の1つで、特にハイテク企業が多く上場していることで知られています。近年、こうした成長企業を含む市場で「ESG投資」(環境・社会・ガバナンスを重視する投資手法)が広がりを見せ、投資家にとって新たな視点が求められるようになりました。本記事では、NASDAQの特徴を整理しつつ、ESG投資との結びつきをわかりやすく解説しながら、将来的な持続可能性を重視した投資戦略を考えるためのヒントを提供します。
 
2025/4/23
S&P 500と何が違う? Nasdaqインデックスの特徴と投資について解説
投資で大きなリターンを狙うなら個別株が魅力的ですが、その分リスクや高度な分析の必要性が増えます。そこで注目されるのが、市場全体や特定セクターの動向をまとめた「インデックス投資」です。インデックス投資は調査の手間が少なく、複数企業への分散投資がしやすい利点があります。本記事では、IT企業が集まるNasdaqの指標「Nasdaqインデックス」の仕組みや特徴、投資メリット・リスク、実際の投資方法を分かりやすく解説します。
 
2025/3/26
NYSEとNASDAQの違い:株式取引所の比較
NYSEとNASDAQは、どちらも米国を代表する証券取引所ですが、その運営方法や上場する企業には顕著な違いがあります。投資家の方にとって両者の違いを理解することは、自分に合った投資戦略を立てる上で欠かせません。本記事では、NYSEとNASDAQを5つの観点から比較して違いを解説します。